ヒゲと雑菌
ここ数年、主に広告代理店やIT関連の企業に勤務するビジネスパーソンの見た目に、“共通項”が見られるようになった。めなスーツにツーブロック、そしてヒゲだ。
一昔前であれば、ビジネスパーソンがヒゲを生やすなんてご法度とされていただろう。
しかし、時代は移り変わり、ヒゲもファッションの一部として認められるようになりました。
そんなヒゲが“雑菌の温床”になりうる、ということを理解している人はどれだけいるだろう。
過去には便器並みに汚れているという記事が海外から出ていたようですが、それは誤解なんです。
たしかに、ヒゲの周辺には“常在菌”と呼ばれる菌が生息しています。その数とトイレに存在する菌の数とを比較したときに、ヒゲは便器並みに汚い可能性があるという結論が導かれているのですが、その比較が大きな間違いなんです。
常在菌というものは、我々人間が共存共栄していく菌。いわば“善玉菌”のようなもの。それと、トイレにいる非常在菌とを比較しても、それぞれの性質が異なるため比べようがありません。
人間にとっては必要な存在でもある常在菌と、常に悪さをする非常在菌とでは、果たす役割が異なるため比較対象にはならないということです。
では、男子のヒゲはどの程度汚いと言えるのだろう。
便器並みというのは非常にオーバーな表現ですが、それでも汚れてしまうことに変わりはありません。イメージするならば、“髪の毛”と一緒ということ。髪の毛は皮脂やホコリによって汚れますよね。だから、みんな毎日洗髪をするわけです。それと同様に、ヒゲも汚れていくもの。特に口元にあるヒゲの場合は、皮脂やホコリの他に食べ物なども付着しやすい分、髪の毛よりも汚れやすいと考えられます。
そのように汚れてしまったヒゲを放置しておくと、もちろん、皮膚トラブルを招いてしまう。
不衛生な状態が保たれてしまうことによって、ニキビ菌が繁殖し、ヒゲ周辺にニキビができてしまう。これが最もオーソドックスなもの。また、ブドウ球菌が増えることで、毛嚢炎(もうのうえん)という毛穴の炎症を引き起こす恐れもあります。毛穴が赤くなってしまい、触ると痛みを感じる症状です。
その他、白癬菌性毛瘡(はくせんきんせいもうそう)と呼ばれる水虫菌が増えることにより、皮膚がボコボコになってしまうというケースも!
意外と多い、ヒゲのトラブル。これらを回避するためには、丁寧に洗顔することが重要です。
毎日洗顔はしますよね。でも、ヒゲをきちんと洗おうという意識は、まだまだ低いようです。なにも難しいことはありません。市販の洗顔料を使って、朝晩と洗えばいいだけです。その際、ヒゲだけではなく、土台となる皮膚も丁寧に洗うことを心がけましょう。
ただし、それでも皮膚トラブルを引き起こしてしまうこともある。その場合、絶対にしてはいけないのが、“安易な自己診断”です。
「皮膚に異常が見つかったときは、すぐに皮膚科へかかってください。自己診断はさらなるトラブルのもとです。たとえば、ニキビを肌荒れだと勘違いして、ステロイド剤入りの薬を塗ってしまうと、余計に悪化させてしまうこともあります。
最近は、ネット上に医療に関するさまざまな記事が溢れています。
そもそも、我々皮膚科医ですら、患者さんの皮膚をひと目見ただけでは診断できません。皮膚科というものは、見て触って細かく調べてみて、ようやく診断が下せるもの。場合によっては病理検査や血液検査もするのに、一般の人が表面だけを見て診断することなんて不可能なんです。
特に男性の場合、皮膚トラブルを軽視してしまいがちではないだろうか?
大きな病気ではないだろうし、病院に行くなんて面倒くさい、そのうち治るだろう……。こういった安易な判断が、取り返しのつかない事態を招くことだってある。ヒゲ周辺に異変が起きた場合は、すぐに病院へ駆け込むのがベストと言えるだろう。
そして、まず意識しておきたいのが、ヒゲを清潔に保つということ。いくら見た目だけをオシャレにしていても、蓋を開ければ菌だらけ……なんてことになったら、元も子もないのです。
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